こんにちは!シンです。
2021年12月の税制大綱で配当控除が改悪されることになりました。
日本国内株式の配当金でFIREを考えている人にとっては
かなりの痛手になりました。
↓前回の記事はこちらになります。
配当控除変更前では確定申告で配当控除を利用することで以下の恩恵を受けることができます。
- 最小税率:5%
→配当控除を利用しなければ税率は20.315% - 住民税申告不要制度により、FIRE2年目から国保を最安で加入可能
→住民税を総合課税で確定申告すると配当金を収入とみなされ、
国保の保険料が高くなります。
配当控除変更後で配当控除利用すると以下のようになります。
- 最小税率:7.2%
- 住民税の申告不要制度が利用できなくなる
→配当金が所得と認められることになります。
そのため、国保の保険料が上がります。
日本国内株式メインの配当金FIRE民にとって
一番の痛手は②の住民税の申告不要制度が利用できないことです。
国保の保険料は自治体の管理なので、居住地区によって
保険料が異なりますが、住民税の申告不要制度が利用できる場合は
年間約20~30万円の節約効果があります。
20万円を配当金で賄おうとすると4%の利回りで
500万円が必要になります。
(税金は考慮していません)
そのため、住民税の申告不要制度が利用できなくなる改悪の方がインパクトが強くなります。
配当控除変更前は配当控除を利用した方が得となります。
配当控除変更後は利用した方がいい場合と利用しない方がいい場合があります。
独身の僕の生活費をモデルケースに配当控除を利用した方がいい場合と、
配当控除を利用しない方がいい場合を試算しています。
国民健康保険は扶養という概念がないため、夫婦でFIREを目指している方も参考になると思います。
配当控除変更で地方でFIREするメリットが激減
配当控除の変更によって地方でFIREするメリットが激減したと考えています。
その理由は
地方の方が国民健康保険料が高い
からです。
地方には地方の良さがあることは分かっていますが、
国保等の社会保障費を含めた生活費を考えると
地方FIREのメリットが激減しています。
都市部の郊外FIREと地方都市FIREのメリット、デメリット
僕は現在関東の郊外(山手線沿線まで1時間くらいの郊外)に住んでいて、地元は熊本になります。
そのため、関東の郊外と熊本の地方都市とを比べてメリット、デメリットを比べてみました。
◇メリット
- 国保の保険料が相対的に安い
◇デメリット
- 家賃が相対的に高い
家賃に関しては関東郊外でも駅から遠くて築古物件などを探せば
安い物件もありますが、
都市部郊外と地方都市で同じような間取りの物件だった場合、
都市部の郊外の方が高くなってしまいます。
国保は治療を受ける人が多く、保険料を納める人が少なければ保険料が高くなりますので、地方よりも都市部郊外の方が安くなる傾向があります。
◇メリット
- 家賃が相対的に安い
◇デメリット
- 国保の保険料が相対的に高い
地方都市の方が家賃は安くなりますが、
車を所有するとなると、地方の方が生活費が高くなるのではないかと
考えています。
住民税の申告不要制度が利用できればその差額で車のコストを吸収できたかもしれませんが、
2024年以降はそれが使えなくなるため、
車を所有しての地方都市FIREを考えている方は慎重な検討をする必要があります。
30代独身男性の都市部郊外FIREと地方都市FIREの試算条件
僕の生活費を基に都市部郊外FIRE(関東郊外)と地方都市FIRE(熊本)での必要資産額を試算してみます。
条件は以下の通りです。
- 都市部郊外と地方都市の生活費での違いは家賃と国民健康保険料の違いのみとする。
→光熱費や食費は同じとする。 - 家賃は25mm^2前後の1K基準とし、都市部郊外の家賃は5万5千円、
地方都市の家賃は3万円とする。 - 国民健康保険料は国民健康保険計算機のサイトを参考とした。
- 国民健康保険料は介護保険料を含む40歳以上の保険料とした。
- 配当金の利回りは税引き前で4%とした。
- 配当控除の配当金収入は200万円とする。
- 配当控除を用いた試算での税率は最低税率の7.2%とした。
- 算出した必要資産額はすべて日本国内株式への投資必要金額とする。
→今回の試算は日本株からの配当金でFIREしたと仮定しているため。 - 地方都市FIREは車を所有しないとする。
- 確定申告をしない(配当控除をしない)場合は、税率が20.315%である代わりに2年目以降の国保は最安で加入すると想定する。
- ⑩の前提であるため、FIRE2年目以降の必要資産額となる。
→確定申告をしない(配当控除をしない)場合のFIRE1年目の国民健康保険料は会社員時代の年収にも依るが大幅に異なることは注意すること。
外部リンク:国民健康保険計算機
試算結果
今回の条件では、
地方都市FIREでは配当控除を行わない方が有利
都市部郊外FIREでは配当控除を行った方が有利
となりました。
最小の資産額でFIREしたいなら地方都市FIREで車を所有しない
という条件となります。
結論:車を所有しない覚悟があって、いち早くFIREしたいなら地方都市でのFIRE
いち早くFIREをしたいなら
車を所有しない地方都市FIREが有利
となりました。
ここでの注意点は、
- 国民健康保険料は自治体によって異なる
- くどいようですが、地方で車を所有すると都市部郊外FIREよりお金がかかる可能性
- 家族構成や生活様式によっても大きく異なる
上記の注意点があるため、
一概に早くFIREしたいから地方都市FIREがいい、とは考えずに
ご自分の家族構成や生活様式を加味し、
地方移住するなら国民健康保険料についても調べて、
移住の補助金制度を活用できないかなどを調べた方がいいです。
今後の増税次第では配当控除を行った方が得になる可能性
金融所得課税が2021年に発足した岸田政権下で取り沙汰されています。
今回の試算結果から一番資産を少なくFIREするには
地方都市で配当控除を行わない場合がいい、と試算されましたが、
あくまで現在の20.315%での税率の場合となるため、
今後の増税次第では環境が大きく変わる可能性があります。
金融所得課税の見直しがプラスに働く可能性
楽観視はできませんが、僕は金融所得課税の見直しは
200万円程度の配当金でのコンパクトなFIREには追い風が吹く可能性も
あるのではないかと考えています。
その理由は、岸田総理が建前で言っている「格差是正」にあります。
岸田総理としては財務省の言いなりとして増税したいだけなのでしょうが、
建前では「1億円の壁」「格差是正」を掲げています。
上記の理論で言えば金融所得課税を一律で上げることが
間違っているということは中学生でも分かります。
そのため、所得によって税率が変わるような見直しとなれば、
税率的に有利に働く可能性があります。
今の政権に期待すること自体が間違っている気がしますが、
建前だけを素直に受け取って考えると
一律の増税は間違っているため、有利に働く可能性があることになります。
あとがき
配当控除改悪が発表をされての必要資産額を試算しました。
改悪前では配当控除をした方がお得でしたが、
今回の改悪によって、条件によっては
配当控除をしない方がいいという可能性が出てきました。
それほどに国民健康保険料というのは重い出費となります。
FIREするにはこういった社会情勢に注目しておく必要がありますね。
話は逸れますが、最近、作業環境を大きく変えました。
厳密には半年前から徐々に物を揃えたり、処分したりして整えてきました。
結構満足しています。
参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。